……そうだね。
[数拍の沈黙を挟んでから、低い声でそう紡いだ。
苦い声からして、カレルもそれが出来ると無邪気に信じているわけではないだろう。
けれどそれで、軍学校では学年内でも一際輝いて見えた彼が軍の中では何故伸び悩んでいるのか分かった気がした。
だから、どこかでまた彼に期待をしたのかもしれない。自分には出来ないことでも彼ならもしや、というように]
……全てが終わったら。
そのためにも生き抜こう、大尉。
武運を。
[ゆるりと答礼を返して立ち去る背中を見送る。
注がれていたのは、遠くを映す空虚な視線だった*]