[そうして、裏庭の大樹から"最短ルート"で廊下に出たベリアン・アリーは予鈴がなる前は教室へ向かった。
それはいまさら確認するまでもなく頭に叩きこまれた通り道だったが、ベリアンが使うこの手の近道が書かれた地図は二枚あった。
一枚は当人の手元に残ったもので、
もう一枚はと言えば同室のディークの手に渡っている。
度々ぎりぎりで行動しているディークを出迎えたときに、「危うさを愉しみたいのでないんでしたら、次善策は講じておくべきかと」と、呆れと嫌味と挑発で出来た台詞が発端で、作成されることになったものだ。
思えば地図を作る作業は、途中から遊戯に変わっていた気もするが。]