[そんな中、自家から唐突に齎された報せはあまりに急なものだった。
曰く軍を辞めて帰って来い、家庭に入れ。相手はもう決まっている。]
[唐突過ぎて冗談かと思ったものだ。]
「小生、この戦争が終わったら、彼と結婚するんです。」
[その事を何故、相手の写真まで持ってアイグル上官の元へ言いに行ったかは覚えていない。
彼女のことは怖いと認識をしていたはずだったが、酒でも飲んだ勢いだったのかもしれず。
理不尽な扱いに憤慨しているというようなことを訥々と語った記憶が残っているが、事実はどうだったやら。
因みに、写真は既に破り捨てて久しく、相手の顔は覚えていない。
しかし、祖父が存命である限りは恐らくいつかは彼の人の思惑通りになるであろうことを私は理解していた。
何せあの祖父は自らを護るためであれば孫娘を帝国に売り飛ばすことも厭わぬ鉄血なのだから。]