[一方、彼は私の持っている緊張感とは、また別の緊張感を持っているようでした。
一人で単独行動するのが怖かった、と照れながら答えた姿は、大の大人に向かって言って良いのか分からないですが、とても可愛らしかったのです。
同行しようという申し出も、どこか奥ゆかしさのようなものを感じられ、彼に対する印象は徐々に良くなっていきました。]
申し訳ありません、名乗るのが遅くなってしまいました。
私はベルティルデと申します。この船の乗員です。
わからないことがあれば、何でも言って下さいね。
[私自身も話している間にも「父」と「彼」が別物であると認識できるようになり、通常通りの態度を取り戻すことが出来たでしょう。
ただし、呼び起こされた「血の記憶」に関しては、最早押し退けるおくことは無理となりましたが――。*]