ならば、おまえの望みを叶えてやろう。
おまえの力の欠片がもう一度ひとつになるように。
[言葉を聞いてか、赤い悪魔が動き出した。
なにかを受け取ろうと、あるいは掴もうと伸ばされる手を冷ややかに眺め、懐から小さなナイフを取り出して悪魔へ投げつけた。
ほんの小さな、おもちゃのようなナイフだ。
細かな鱗持つ悪魔の肌にほんの小さな傷だってつけられそうにない刃は、案の定、鉤爪のついた足に跳ねかえって床に転げた。]
冥獄にそびえし無慈悲なる壁よ
死者を苛む刃の群れよ
我が求めに応じ ここに顕現せよ
[術の発動とともにナイフが砕け、破片が煌めきながら広がって悪魔の足元を囲む。
次の瞬間、無数の回転する刃からなる壁が悪魔の周囲に出現し、赤い肌を切り刻み始める。
怒りと苦悶の声が、宮殿に響いた。───9(20x1)]