違うな。その手を使うなら、もっと素早くだ。
或いは一度打って相手の目を晦ませてから、こう。
お前さんの強みは力押しじゃないだろう。
だから……、そうだ。
そう来られれば、こちらは武器を出すことが出来ない。
[請われればこんな風にして、彼に教えた。
恐らく試合をすれば、それでも彼が勝てる見込みはなかったろう。
が、それを求めていないことは互いに良く分かっていた。
戦い、そして生き抜くために。
そう特化したカークの武芸は、戦場で会えば討てぬかも知れず、ひょっとしたら討たれることもあるかも知れぬ。
時にそう思わせる強かな印象を、クマの息子は男に残していた。]