―数年前の事―[少女は、爆撃のせいか、母を失ったショックからか、意識ははっきりしていないようだったが、呼吸は安定していた。自身は背に火傷を負ったが、体はまだ動く。少女を病院に預け、再び戦場へと戻っていった。目の前の人間の全てを敵と思わなければ生き延びられない。その状態にすっかり精神をすり減らし、体力も集中力も限界に来ていた。火傷も癒えず、小さな傷も増える一方。そして――少女を助けてから数日後。些細なヘマで命に関わるほどの怪我を負い、病院へと運び込まれたのだった]