[相手は生物学を専門とする学者だったらしい>>212。
女が思い浮かべたのは――自身の興味に忠実に動く姿。それは先にあった獣医の男性や、前にあったことのある数える程の学者からの連想で。
…つまりは所謂学者のテンプレートの姿であった。それは恐らくアレクシスの言いたいこととずれていただろうが、女の狭い世界ではこんなものだ。
その中でも相手の専門は生物の医療転用であったようだ>>213。
その言葉に思い浮かんだのは、肩に乗る生物のこと。
そういえばこの生物に興味を持たないのかなという疑問が浮かんだけれど、
熱く語る姿に、その疑問は掻き消えていった。]
あはは、すごい方なんっすねぇ。
[自身で世界に貢献したと言った相手に、そんなにすごい人だったのかと、今更理解した。
確かにその研究結果で自身のような病人を救ってきたというならば、それは評価されるべきことだろう。
無意識に、尊敬の眼を向ける。
―――だから、その後の話>>214も、先ほどよりは腑に落ちる。
むしろよくそこまで考えたなと思うぐらいで。
自身の願いと反対のことを、ガルーによって意志とは無縁に為してしまう。
それはどれだけ辛いことか想像に難くない。それは相手の表情からも、自身に置き換えてみてもわかること。
だがもう少し他の方法は選べないかと思ってしまう。]