[だが、今の両手では掬いきれないものをオクタヴィアスは掬おうとしている。
ダーフィトが漏らした『陽光』という言葉。
自らをも溶かした暖かい日差しを、オクタヴィアスはラモーラルに住まう全ての人間に届けるつもりなのだろう。
それを手助けしたいと思うのなら、自分がオクタヴィアスに出来ることはなんだろう。
そうして考えて王都に戻ってから実行したことは、ツテを辿って今後のラモーラルに有益な知恵を持っている人間をオクタヴィアスに紹介することだった。
もちろん彼が自ら学んでいることは知っていたから、余計なお世話だったかもしれない。それでもウェストマール人という自身の立場で彼の両腕を伸ばしてやれそうなことといえば、それしか思いつかなかった]