―回想:ミーネ>>262―
[あれは確か寒い日だった気がする。
アースガルドだったか、その植民地だったかで蜂蜜の買い出しに出てた時だった。
また、泣き声が聞こえた気がした。
誰かいるのかと思い顔を上げると、仰向けで倒れている少女を見つけた>>262。
着ていた服は薄汚れていただろうか。
(この星は、身分の低い者に厳しすぎる)
近付き、ひょこりと顔を覗いてみれば、絶望が垣間見えるような昏い瞳に涙を湛えていて。
(心を守るために心を閉ざすのは、一種の知恵)
その姿が、かつての自分に重なったからだろうか。]
生きたいか?
[口から出たのは、かつて自分を養父の元へ届けてくれた人と同じ言葉>>25。
不思議な運命の巡り合わせ。
零れる涙が、すべての答えだった気がした。
だからそれに答えがあろうとなかろうと、少女を抱えれば、そのまま船へと連れ込む。]