― 嵐の海岸 ―[渾身の投擲は右手だけでなく左手からも力を奪い取る。雨で濡れた手が滑り、身体は、重力に従い崩れて────「──… ソマリ !!」名を呼ぶ声が、ソマリの後を追って来た]───────![抱きとめられたまま、濡れた砂地を何度か転がる。腕の中に収まっていたため、転がる時の衝撃は少なく。けれど全身の痛みから直ぐには動くことが出来ず。しばし痛みに耐えるようにフェリクスの腕の中で身を縮めていた]