― 数年前・回想 ―
[ダーフィトの案内で初めて訪れたラモーラル州都。
ウェストマール王都で育ったものにとってはこじんまりしていたが、活気に溢れているように見えた。
市場や郊外の農地などを見て回りそこで実際に働いている人間に話を聞くと、ウェストマールから齎された技術により、段々と州都の様子は変わってきているということだった。
だが、街で聞くことが出来たのは、もちろんいい話ばかりではない。
税金が重くなったなどと、街の中にもウェストマール王国の支配を受け入れたことを不満にもつものがいた。
お膝元ですらそのような状況なのだから、ましてやそこから零れた者達はこの状況を良しとしないことはすぐに推測出来る。
これが王都にいるだけでは実感が出来なかったラモーラル州の現状なのだ]