[帯剣している腰を示すアデルに、瞳を細めた。>>265
同行している限り、彼が手を血に染めるときが必ずやってくる。
その一振りに、どれだけ力が無くとも、
自身は彼さえ使う心算であった。]
いいや、期待している。
俺のツキは気まぐれだからな、落ちないように気を配るが、
何分、加護から遠いのさ。
[華々しい肩書きは、所詮符丁でしかない。
彼の強い信念は、茨さえ断つと良い。
たとえ、どのような試練がこの先、彼に待ち受けていようと。
最中、聞こえてきたバルタザールの声に肩を竦めた。
相手の言わんとするところは知れるが、僅かな逡巡を挟み。]