― 天《そら》へ ―[その夜は、天の軍勢が降り来た時とは対照的に、 月のない、星の瞬く静かな、ありふれた夜だった。 光り輝く船も、空埋め尽くす軍勢もない。 ただみっつ。それぞれに淡く輝く天使の翼あるばかりで。] …… では。[短い言葉を、天のいとし子と二翼へと向ける。 そうして、マレンマの傍らへと向け歩み寄った。 近く視線交われば、微笑みの形に目が細められる。]