[ 何か残すことも考えないではなかったが……、 紙では未来に届かぬだろう。 石に文字を刻めば、なにがしかは伝える事が出来るかもしれないが、 蝶の羽ばたきひとつで、歴史に思わぬ影響がないとも限らない。 最終的に何も残さぬ事にした。 ……夢の中で、ヤコブに会った気がする。 生まれて良かったかと聞かれて、当り前だと答えた。 それで充分だろう。 ]