― 先の刻/旅路にて ―
[これまではただ、微睡んでいただけの選と選の合間の時。
多くの刻を無為にしていたな、と思うようになったのは、『譲葉』の地を巡り始めてすぐの事]
……風の流れ、空の色。
それ一つとっても、こうも違うか。
いつぞ駆けた時は、本当に。
何も見ておらんかったのだなぁ……。
[己が血と花弁より、力を持って鍛えた太刀を手に駆けた時。
あの時はただ、貪欲に力を求め、それを有する強者を求めて駆けていた。
そして、その時は多くを見落としていたのだと。
全く違う目的を持って歩く事で、改めてその事に気付く事ができた]