[彼の答えがどうであったにせよ。
自分の意見としては、と告げたのは。]
僕は――フェリクス殿下ではないかと予想しております。
[兄殿下の方の名前。]
長子にして、その威風と勇名は国中に轟いており。
軍部からの支持も厚いフェリクス殿下を指名するのが道理でしょう。
[実際、僕の思想や立場は別として、
フェリクス様が指名される可能性のほうが高いとは思っていた。]
……しかし、あの御方は些か武に傾倒している。
我ら文官にとっては肩身の狭い時代が訪れそうですね。
更に、それに乗じて軍部が増長するような事があれば。
この国は不毛な戦争へと転がり落ちていくのではと――……。