[礼儀を大切にしている良い子だと、シスターと神父に口々に言われ後ろめたい。
リゼットが礼儀を大切にするのは、相手を立てさえすれば無難に遣り過ごせると知っていたからだ]
いえ、……シスターと神父様には、いつもお世話になって、いますから。
なら、お言葉に甘えて、また寄らせて、もらいます。
[フリーデルも神父に劣らないくらい、リゼットのことを気にかけてくれているのは分かっていた。
けれど神の視線に関する言葉は、少女の心を疼かせた。
良い行いには、良い報いが返ってくるならば
当然、悪い行いには、悪い報いが待っているということ。
だから――リゼットは幸せにはなれないのだと、改めて思い知らされるのだ]