『私に王たる資質を見出せないのは、ご尤な見解です。
何故なら、私は巫女姫なのですから。
このところは、少々既存の領分を外れてはおりますが。
戦の矢面に立つのも全て、国民の皆様の豊かな明日を願ってのこと。
少し、別の御話を致しましょう。
益為らぬように見える虫も、時には花粉を運ぶ役目を担うこともあります。
花にとって必要であれば、受け入れることも吝かではありません。
ただ花を、根付く大地から剥がし、其の土を全て払い、鉢に植えて鑑賞するというのならば、……
幾ら変わらず花が咲き、風に花弁を揺らそうとも、花は淋しく思うでしょう。
根付いていた大地が、恋しいからです。』