ほら、そこだよ。
よく乗員はお客様第一と言うけれど。
乗員も乗員である以前に一人の人間だから。
お客様の安全も大事だけど、乗員が助かることも
同じ位に大事だからね。
[ 断言出来なかったディークの様子に
やはり予想は当たっていたかと頬が緩む。]
まあね、トータルの乗船日数で換算すると
君よりは長いかもしれないね。
とはいっても職員では無いから、セキュリティ
エリアに関しては詳しくは知らないけれど。
[ やはり気持ちの良い青年だ。
彼のような者こそ、本来真っ先に避難させるべきなのだが──。
まさか彼も、不安定な、危険な
身を抱えているとは。
当然この段階では気付くことも無く。
それを知らずとも心配になったのだ。
知っていれば更に強く「我先に避難するんだよ」と告げただろう。]