― 銀羊号・第1エリア 面会室 ―
[それが彼女にとってはいつの時にあたるかはわからないが。]
いや、副艦長殿と面会が叶うとは、はっはっは!
それにむさくるしい髭男などを連想していましたが、いやこれは女神のようだ、お美しい!
あなたのようなお方がこの船の長とあらば、船の中も活気づくというもの、わっはっはっは!!
[そんな言葉にその当人である副艦長……ガートルードはどんな態度を示したか。もちろん馬鹿正直に喜びを示すはずもないのだが、彼はその後も構わず社交辞令を並び立てることだろう。]
いや、一通り船内を拝見させていただきましたが……シルバー・メリー号、ですか。
その名のとおり、宇宙空間においても安らぎのある暮らしが送れそうだ。
[まったく本心でないことを口にする。少なくともこの船が厳戒態勢にあることは明白である。それに彼は、この船が過去に幾度かあまり穏やかでない事件に遭遇していることも聞き及んでいる。
そうしたことへの嫌味とも言える。
それにそもそも、そのシルバー・メリーというネーミングに、艦長を務めるメイン・システム(信じがたい!)のキャプテン・メリーはじめ、ラビィやスノウといったシステムAIの連中の風貌……すべてが子供だましとしか思えないのが、ベルガマスコという男だった。]
ですが残念ですな……その安らぎある空間も、この星域にはびこる戦乱の空気にあてられると……こう、ピリピリしたものになる。
副艦長殿も……嘆かわしいことでしょう?
[彼女がアースガルドの女将軍の地位にあることも、もちろん知ったうえで、そう言うのだ。]