[握った手は小さくて細くて柔らかだった。>>240
その感触が手に残っているようで、不思議な感じだ。
水気を抜いたフルーツを渡したときの反応は予想外のもので、彼女の目から零れた滴にうろたえる。>>241
けれども、すぐに笑顔に吹き飛ばされていったから、こちらもつられて笑顔になった。
いよいよ別れる段となれば、彼女の纏う空気が変わる。>>243
無邪気で愛らしい生き物から、神魔に連なる神秘の存在へと、笑みひとつで変化する。
改めて胸に手を置き、片膝を落として祝福の言葉を受けた。]
ここまでの心遣いと賜物に感謝している。
いずれまた、そなたらとまみえんことを願おう。
では。これにて失礼する。
[別れの言葉を告げた後、馬に跨がり動き出す。
見える限りは少女を振り返り手を振って。その姿が木々に紛れて見えなくなる頃には、いつしか森を抜けていた。*]