―王の間迄の道程―
[>>280再び師が人の姿に戻っても尚、何も言わないし表情も変えない。ただ眼だけが、何時になく酷く落ち込んでいたけれど、気にされなければ其の侭に。
とぼとぼ元より鈍い歩みが更なるものとなっただろう]
[足を止めた前を歩く彼に、余所見をしていた所為でぶつかりそうになって慌てて止まり、不思議そうに首を傾げる。
何を、言って居るんだろう、この人は、先生を、俺が、嫌う筈なんて無いのに。
呆れ交じりの溜息を零して、ぽんと促す様彼の背を叩き]
…――急いでるんだろ?早く行こう。
[知らぬ彼に、総てを話せる筈がない。彼はきっと、自分の事の様に、否、それ以上に、これからずっと悩み苦しむ事になる。
彼に重荷を、苦痛を、背負わせることを善しとせず、黙したままに、脇をすり抜け先を歩き*]