[顔を上げれば、緑の蔦に覆われ行くその姿が、
煌々と光る、緋色が見えた。
その姿は、そう、まるで緑の――…]
その姿――…
まさか…!
[皆まで言わず、土色の瞳が、ほんの一瞬見せた深い戸惑いは、決意の色に切り変わる。
憎しみでもない、殺意でもない、ここで死ぬわけにはいかないという、次の行動を探るためのもの。
いまこの体の状態でもあったとしても、“ヒト”が相手であれば、滅多に負けないだろうというのは、はったりではない事実。
けれど、
いま目の前にいるのは、彼女は、
――『人狼』だった。]*