― 現実世界・酒場 ―
[からん、とドアベルが来客を知らせ、刈谷は顔を上げる。
そこにいるのは、楠。
もし試練前なら驚いただろうけども、今の彼には予想の範囲内。
腰を下ろした楠の前に、静かに水の入ったグラスを差し出した。]
いらっしゃいませ。
……休暇、ですか?
まさかこのような場所でお会いするとは……ご無沙汰しておりました。
[なんでもないことのようににこやかに。
されど、視線は離さない。]
もしお任せ頂けるなら、こちらでカクテルをチョイスさせていただきますよ。
[メニューに視線を落とす楠へ、テノールが告げた*。]