― 現在/メイン・サロン ―
[俺の言葉を聞いて、相手が細めた目に「まずったな」と内心舌打ち。>>218
どうやら、『人狼』の彼に目を付けたみたいだ。
何とかして、止めないと…
「どうもありがとう」と嫌味な笑みを浮かべて、離れていく背中を見つめながら、上着の内側に手を入れる。
そこにあるのは、さっき拝借したアイスピック。>>2:2273
―――俺にできるか?
少し、迷う。
これまで、人の命を救うために生きてきたつもりだったから。
でも、ここで『人狼』が殺されてしまえば。
今まさに苦しんでいる『ガルー』のワクチンで救えるはずの人がたくさんいるはずだ。
ぐっと覚悟を決める。
『人狼』が逃げるくらいの隙を作ることは俺にだって…
冷たい汗が背中を落ちる。
アイスピックを手に、まさに足を踏み出そうとした時。]