[頭の中で、ゲルトの声が>>276ぐるぐる回る。
ぐるぐる周りながら、それは一つの答えに向かって吸い込まれるように突き進む。
どうしてゲルトは笑っているんだろう
理解したくなかったけど、分からない訳が無かった。]
ゲルト
[自分でも聞いた事の無いような低い音で囁くように彼を呼んだ。
人狼が、人の姿の時、どれほどの俊敏さを持つのかは知らない。それでも。
二歩、三歩、踏み込み。距離を詰め。
避けられなかったなら、彼の手首を掴んだだろう。
恐怖心が無かった訳では無い。ただ、その恐怖の中身はこのままゲルトを永遠に失う事だったけど。]