[ 砂漠の星を発つ日。
遺跡群との別れを惜しむのと同時に、
ついぞ逢えないままだった双子のことを思いながら
…学者を特徴的な呼び方で呼ぶ"彼女"のことを想いながら
母星に向かう宇宙船で帰途についたのだったが。
どうも行く前と様子が違ったらしく、
兄に問いただされて渋々答えて以降というもの
その彼女にはいつ会わせてくれるんだ?ん?などと
ことあるごとに詰め寄られて酷い目を見た。
だから兄に砂漠の星の話をするのは控えていたが
それでも砂漠の星の旧文明についてだとか
暫くはそういった偏りのある研究内容だったから
同業者でもある兄にはお見通しだったかもしれない。
兎も角、ル・ウルタールの風習だとか
現存する奴隷の文化にまで知識が広がったのは
一部だけでもあの星と…二人と繋がっていたいと
無意識の中ででも、考えていたからだったように思う。 ]