[>>276 安堵の表情を見てほっとした。…必要以上に怖がらせる事は無い。「身体の」傷は痛まない。嘘は言っていない。そして、ここ数年自分に新たな傷が増えない理由は、他の仲間が代わりになっていると言う事。その事にも口を噤んだ。
もっとも、王子が自分に手を出さなくなったのは…
王子に触れられると動悸、冷や汗、体温低下と続いて吐くからだ。生理的な拒絶反応が肉体レベルにまでなっていると、興ざめ甚だしいのだろう。
いくら口先で王子を敬っていても、…身体は正直すぎてごまかせない。
因子覚性実験は継続的にあるが、それも一通り試した後なので落ち着いたものだった。
と、走馬灯のように自分の身体について思考が走った後で、名前が耳に入った]
ディーク、よろしく。
…ん?「カーネフェル」聞き覚えが…。…あ。
仲間に同じ姓のがいるが、まさか血縁関係は無いだろうな。
[反射で口をついて出た後でオズワルドの顔が頭に浮かぶ。]