[混戦の中を、自在に泳ぎ回るような小隊がいた。そんな報告には暫く首を傾げたが、率いる長の風体を聞くと脳裏にある男の像が結ばれる。思い出されるのは、いつも剣を握った姿だった。年下の少年が、幾度も彼に稽古をせがんでいたのを覚えている。見かければ、自分も必ず混ざった。盾を使うのは俺ではないから。そう言って、剣で打ちかかっては跳ね飛ばされていた。今は果たしてどうだろう。試してみる機会は、そう遠くはないはずだ。]