[パチリとウインクをして、久闊を叙す。
オートマタも相変わらず、執事然としてその後ろに控えていた。
ちょいちょいとマチスの耳を引っ張って、あれからのことを伝える。]
追いかけ回される生活に、このままじゃダメだな、って思ったのさ。
で、おれは役に立てますよって国王に売り込んでみた。
今では、アリシャスタン王国大使、ダーフィト = サーキス・アリシャだ。
[継母の性格を変えることはできないままだが、異母弟は母親の干渉を抑えることができるほど成長していた。
それに、マチスという、ひとの懐に飛び込む男の手本も間近で見て来たことだ。
国政の場に戻ったダーフィトは、継母にも誠意を示しつつ、異母弟と協力して、国民の健やかなる生活を守るべく《シュトルツフェア》と共に駆け回っていた。]