― 願い ―
[小さく指先を牙で刺し、その血を目の前の球体に垂らす]
私の願いは…
この身に授かった 鑑定師の力に無限の可能性を求める
私は吸血種となる運命を享受する。
そして「人」であった自分と「吸血種」となった自分の両方を
生かす道を選びたい。
人に紛れて、人の中で生きるために…
私達吸血種はもっと様々な事を知らねばならない。
「知る」ための手段となりて、この身を役立てようと思う
[そう告げると、球体は霧散し、細かい紅い色はやがて目の前から消え失せる。
ギィの「願い」も耳に届いていた。
なんと大きな願いである事か…そう思いながら。
やがて王子の寝室を後にするだろう]