「3年前に軍を離れると共に家を出たとか聞いている。
軍上がりの人間が背後にいるとなると厄介だぜ。気を付けろよ、フィオン。」
――分かっている。
[女は手綱を握り締める。
そろそろ部隊を分ける地点に差し掛かろうとしていた。
海越しにデ・モール火山を背後に控える地。
女の率いる軍勢はそこから右側へ、
メレディス・ギラルディーニの率いる軍勢は左側からシュビト方面に向かって回る予定だった。
合流地点はナミュール国土の南西の端に位置する半島付近。
多数の小島もあるが、土地勘のない事と南側には王府の協力者がいない以上、そこまで踏み込む事は難しいと判断した。]