[口にして始めて、何かが抜け落ちたかのように「…――ああ、終わったのだ」と感慨が湧いた。潮風で湿気た麦穂色の髪が、力なく頬に張り付く。] ……、随分と世話になった。 ウルケルは、雇われた側だ。 帝国との敗戦交渉でも、そちらに迷惑は掛けまい。[実際に交渉するのは上層部だが、ほぼ間違いは無いだろう。共闘してきたウルケルを裏切るような真似をすれば、世論で叩かれるのはオルヴァルである。]