― クリーク砦・出撃準備中 ―
[辺境伯と戦った後、兵たちの話を集めてみれば、相手の陣容もいくらか見えてくる。
相対したときは同じような規模だったようだが、手ごたえとしてはずいぶんと討ち減らした感触があった。
戦死した兵、負傷したり進退窮まって投降した兵、捕縛された兵、散り散りになった兵。すべてを考え合わせれば、当面の相手の戦力は相当減っていると思われた。
もっとも、素早く軍を取りまとめられる将がいなければの話。
兵たちの話から、幾人か気になる敵将の存在を知る。
ひとりは、マーティンと刃を交えたという銀髪の男。
風体と握っていた武器とを聞けば、思い浮かぶのは1人だった。]
そこか。
[いずれ敵として会うことはわかっていた。
そこに居たのか、という思いだけがある。]