―病院―サク![甥が、目を覚ました。そう聞いて、黙っていられるはずもない。扉を開きながら甥の名を呼べば、静かにしてください、と、看護師に注意されたが。]……サク、 目、覚ましたのか。よかった。[物の形なんて、ほとんど色でしか認識できないような視界でも、甥の姿は、はっきりとわかった。染め直した真っ黒な髪を揺らして、ベッドの傍らに、座り込む。]