― アレイゼル領 ―
[後に、領地へと帰還した男が始めにした事。
それはお抱えのパティシエに言い付け、件の『たまごプリン』の準備である。
訪れるかも知れない『客人』にも試しに受けて貰う腹だ。
唯、レシピをなぞるのみのパティシエはアレイゼル領主の膝元に不要。
このソマリを満足させるに足る最高の茶菓子を供せと命令した。
… … …やがてそれは戦乱が終結した将来。
無事に、或いは辛くも生き延び遂せた、パティシエの手により
やがて『紅茶プリン』や『ミルクプリン』、『ハーブプリン』と云う各種変り種の茶菓子が、ナミュールにも普及していく事になるのだが、それは未だ少し未来の話**]