[ …そんな危うい状態であっても、
少し前、「また」話が聴きたくなったら使ってくれと
連絡先を渡してしまったのは、…それでも
彼女とまた会いたいと、話したいと願ってしまった
どうしようもなく愚かしい気持ちからだった。
あの砂漠の遺跡群で再会を約束したのは、
別れの寂しさを紛らわすように強がって
聞きたければまたおいで、と二つの楔を手渡したのは、
再会を――と、あの時から望んでいたから。
"楔の逸話を教えてあげる"
素直に「 会いたい 」とは言えなかったけれど、
再会の約束が果たされる日を待ち望んでいたから。
日々発掘作業に明け暮れながら、
ソールやサーラは今どうしているのだろうと
遠くの街の中に見える王宮を眺めながら思っていた。 ]