[僅か先を歩く兄の足取りは緩やかに、けれど迷いなく。疑問を差し挟むこともなく、歩調を合わせて歩く。丈高く竹林に囲まれた細道に至ってようやく、兄は現在地への釈明を、空に向かって滔々と繰り広げた>>273] ……ああ、道理で随分と、林の奥にある薬局だなって思ってたの。 気にしないでお兄ちゃん、こんな所に来るまで ちっとも気づかなかったあたしもいけないんだから。[こちらも、緑に狭められた空を見上げながら、普段は見せぬ程に殊勝な言葉を滑らかに並べ立て]