― ゼルチュルナー診療所 ―[寒い。やはり暖かい目とは云え、雪季節は肌寒い。細身な子供の身体だから、芯に冷気が届き易いのだ。口許を篭らせた両手に息を吹き掛けながら、行き慣れた診療所の扉に手を] ……この時間は、宿だよな[訪問を知らせると同時に、中の様子を窺う。この診療所を訪れ出してからこの方、気にしているのだ。医者以外にもいる、ここの住人が応対に出るか]