ー回想・外務長官執務室ー
[この立場になってからというもの、国王陛下に謁見する機会は必然と増えた。また、私の意見を聞かれることもある。陛下が仰るには、私の方が対外的なことには強いだろうということだ。]
…陛下は、どちらを。
[後継者がどちらになるのか。国内でもそのことは話題になっていた。
自身では第二王子…ウェルシュ殿下の方が望ましいのではないかと思ってしまう。身分にも関わらず、だ。
第一王子のことを悪く言うつもりもない。第二王子を贔屓するわけでもない。ただ、国の上に立つ者こそ、武ではなく文に秀でているべきだという考えがあったのだ。]
まあ、私が考えてどうにかなることでもないか。
私の出来ることをすればいい。
[そう言う彼の机には、幾つかの書簡が。
隣国との協定書の数々だった。]