―― 医務室 ――
[殺風景な医務室を軽くぐるりと見渡して、目の前の着崩した白衣の男の姿を見れば、病院嫌いの性分が疼く。]
ん? 安心しろよ、忘れたから。
此方の記憶ぶっ飛ばすまで飲ませてくれて、
手前はどれだけ飲んでも顔色も変えないでケロッとしやがって
二日酔いを処方してくれた不良医者が、
どんな風に患者を勧誘してくれたか、とかはな。
[ベルティルデは、そばにいただろうか。
それとも、医務室のあたりにいる誰かと、話すことでもあっただろうか。
もし聞こえていたとしたら、あれを同僚に知られるのは、彼にとって喜ばしくないことだろう。
その体面を慮れば、ばらすつもりはないけれど、少しばかりの意趣返し]