[ヴィスマルクに乗っている佐官クラスを、頭のなかで数える。
艦長は行方不明で――機関長は重傷だか戦死だか、航海長は退艦者の指揮。
残っているのが、副長に砲術長、通信長。
それから、旗艦でもないのに何故かいる参謀と――目の前にいる小さな技術少佐]
……まあ、そうですね。
[注意は怠らないように、と言われて。そう頷く。
そして、思う。
もし、眼前の技術少佐が工作員だとしても。
――自分の前では襤褸を出さないでほしい、と。
やはり、どうも――女子供に銃口を向けたくはない。
それが、上官が親しげにしていた相手なら、尚更だ]