― 回想 ―
[かつて。シェットラント・シンクレアは優秀な学生であった。
眉目秀麗・成績優秀・品行方正・家柄良好。
絵に描いたような優等生には、唯一つ足りてないものがあった。
他人へと、向ける心だ。
やっかみを受けた。挑発も受けた。
一々それを気にする神経も、暇もなかった。
麻痺している感覚も、せざるを得ない事情もあった。
目を向けていたのは、キアラを初めとする認めた者ごく少数。
だからこの言葉も、別段悪気あってのことではない]
「ベリアン・サルーク?…さあ、知らないな。」
[彼という人、その思い。こうした言動が彼に何を思わせたか。
もう少し目を向けていれば、悲劇は防げたのかも知れないけど]