――地下・休憩室――
[とん、とん、とん、と軽やかに跳ねながら階段を下ってゆく。
隣を並走するリエーフは少し物言いたげな様子だが、いつものことだ。気に留めるほどの問題でもない。
階段を全て降りきった所にあるのは、休憩室らしき場所。
広さは上階の書斎と同じ程度、だろうか。
地下という閉塞感はわずかにあれど、書棚がない分だけ、こちらの方が少し広く見えるくらいだ]
『……何も名乗る必要はなかったのではないかね?』
[辺りを見回しながら、ゆっくりとした足取りで部屋を横切る。
少し古びてこそいるものの高級そうな絨毯が敷かれ、中央には花瓶の乗った円形のテーブル。
暖を取るためだろう、暖炉が見受けられるけれども、赤いロープとポールで囲われたそこは使われた形跡がない]