兄は、
我を忘れて、敵を皆を喰い殺した。
それでも満たされなかった……
飢えて、乾いて……
泣きたくなるほどに、血を求めた。
血を分けた半身ですら、
食べたいと衝動が抑えられなかった。
いやだ、と泣きながら、
衝動が起こることに絶望しながら、
それでも、
私を食べようとした、……だから、
一緒に死ぬつもりで、私が殺したの。
[ それなのに、生き残ってしまった。私だけ。
それも、兄の目玉を刳り貫いて!!奪い取って!!
くしゃり、泣きそうに、顔を歪める。
でも、涙はとうに、乾いてしまって一滴も流れやしない。 ]