― 花屋『Florence』 ―
[花屋の店内に顔を出し。>>250
アレクシスがいたならば作業しながらでいいかしら?といって話をするだろう。
そうでないなら、ジョニーの鼻歌をバックミュージックに花束を作る。
切ったばかりの花を小分けにし、手慣れた様子で花束を作った。
アデルには白いアイリス、そしてハレルの草を使って。
天を向いた大ぶりの花弁が、時間とともに地面に頭を垂れる花。
その花を、柔らかいまっすぐの葉……深緑色と、アデルの髪色の葉の二色を用いてくるりと巻いた。
その根元を紐できつく縛り、そして柔らかい麻紐で縛り切る。
(アデルは植物扱うって言っていたから、気付いちゃうかしら?)
その花の持つ言葉は「優しい心」そして「強い意思」という意味の葉。
それは一見相反するような言葉。
だが、アデルの中には確かに共存していて……。
中に居たもう一人には気付けなかったけれど……優しさで内包された強さ……そんな印象を受けたから。]