[ ファミーユが兄に告げる言葉を、彼は部屋の戸口に佇んだまま、黙って聞いていた。>>266
一緒に部屋に入った時には、忌々しそうな視線をこちらに向けてきたファミルだったが、妹の思わぬ造反に、すっかり頭がのぼせてしまったらしく、今は他の人間など、全く目に入っていないようだ ]
[ やがて、凛として、決別を宣したファミーユが踵を返す。>>272扉を開けて、彼女を先に通した後、彼は、その扉を一度閉めて、ファミルの方へと向き直った ]
ファミル、お前さんが今、何を考えてるかは知らねえが、実行しないことを勧めとくぜ。
[ 苦しげな顔のまま、こちらを睨む、彼のクイーンに似て非なる顔の少年に、ことさらに冷たく告げる ]