― 回想・マクワイア邸 ―
[相手が室内へ入ってくるなり...は立ち上がり、足を揃えて直立した。
やってきたのは姿勢のよい壮年の男性だ。
とりたてて抜きん出た体格ではないが、
堂々とした立ち居振る舞いに格の違いを感じるしかない。
アンドリュー・ダグラス・マクワイア提督。
ジュニア(二世)を付けた名前で呼ばれる者は多いだろうが、
サード(三世)、フォース(四世)ともなれば、
下手をすると物笑いの種にしかならない。
笑われない数少ない例外が、目前のマクワイア提督だった。
もちろん、マクワイア・フォースという通称で呼びかけるような
無礼は、階級がはるかに下の...にはできない。]