[ 残念ながら、
画家の必死のジェスチャーは
伝わらなかったようで>>251
懸命に伝えようとしただけに
少しばかり気落ちすることになる。 ]
( どちらの方が楽に描けるかなんて、決まってる )
[ いつしか、王宮で交わした会話を思い出した。>>186
画家にとって楽に描けるというのは、
"対象をよく観察せずとも描き出せる"
ということに他ならない。
そういう意味ならば、
名を上げるに足るのは一人しかいなかった。 ]
……御機嫌よう、殿…じゃなかった、
――ええ…兎に角お元気そうで何よりです。
[ さておき、殿下、と言いかけて訂正する。
眼前のこのフェリクス王子はどうも
厳格な性格がそのまま人の形を取ったようで
ローレルは好きではなかった。
むしろ、苦手と言ってしまってもいいほどに。 ]